2020-02-10

イルゴイエンヌ『モラル・ハラスメント』読みました

モラル・ハラスメント―人を傷つけずにはいられない
マリー=フランス イルゴイエンヌ
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 18,543
「家族や企業のなかでモラル・ハラスメントが増加しているという現在の状況は、私たちの社会を支配する個人主義が行きすぎてしまっていることを示す一つの証拠に思えてならない。強い者が、そして抜け目のない者が勝つというシステムのなかでは、モラル・ハラスメントの加害者になるような人間——すなわち〈自己愛の変質者〉が権力を握ることになるのだ。実際、成功だけが人生の価値を決めるのであれば、誠実さは弱さのしるしと見え、平気で人を傷つけることは能力の証しのように見えるだろう。〔中略〕社会の指導者である多くの政治家たちは、青少年の模範となるべき立場であるにもかかわらず、ライバルを蹴落とし、権力を維持するためであれば、良心を捨てることさえいとわない。ある者たちは特権を濫用し、私益を守るためだけに心理的な圧力を用い、〈国家的理由〉や〈防衛機密〉などを口実に自分に都合のよいことをする。また別の者たちは税金をごまかしたり、社会的な財産を不当に流用することによって私腹を肥やす。汚職はどこにでもあるような現象になってしまったのだ。そういった状況で、ある集団や企業、あるいは政府が〈モラル・ハラスメント的〉になるためには、そのなかに数人の〈モラル・ハラスメント的な人間〉がいれば十分である。もしそこで行われる〈モラル・ハラスメント的な行為〉が告発されなければ、それは恐怖や威嚇、人心操作など、目に見えない形で広がっていくからだ。実際、誰かを心理的に縛りつけようと思ったら、その誰かを騙したり、腐敗させたりして、〈モラル・ハラスメント〉の共犯者にしてやればよい。マフィアや全体主義の国家で行われているのはそういうことだ。家族でも企業でも政府のなかでも、〈自己愛の変質者〉は自分たちがもたらした不幸を他人のせいにし、自分たちのほうは救い主のような顔をして権力を握る——そのあとは、権力を維持していくのに、ただ良心を捨てればよい。こういった人々は自分たちの過ちを認めず、責任も引き受けない。そうして、自分たちの悪事の痕跡を消すために、現実を歪めたり、操作したりするのだ。それは歴史が証明している。」
日本ってモラル・ハラスメント社会なんだな。もちろん日本人全員がではないけど、空気として確実にある。