2020-09-30

田中龍山『ソクラテスのダイモニオンについて』読みました

 『ソクラテスのダイモニオンについて』

「ダイモニオンの声やロゴスによる判断は、ソクラテスのひとつの行為の局面を切り取って考察した場合に、立ち現われてくるのであるが、全体として見た場合、ソクラテスの行為を決定するのは、「神の声」であり、同時に「ロゴスによる判断」であったのだ。いやむしろ、ソクラテスにとってはそれらを区別することの方が、むつかしいことだったのかもしれない。そうであるからこそ、ソクラテスはダイモニオンについて、わたしたちには謎とも思える、あまりに無頓着な態度を取ったのではないだろうか。つまり、ソクラテスにとっては、「ダイモニオンとは何か」といったことはそもそも問題にならなかったし、「新奇なもの」と言われても、それを実感することさえできなかったのであろう。たしかに、子供のころから経験していたダイモニオンは、それを他のひとに語るなかで、どうやら自分にだけ生じる特殊なものらしい、そうソクラテスは気づいてはいた。けれども、ソクラテスとっては普通の出来事だったのであろう。「ガラクシドロスの問い」は、神の声を聞くことのできない者が、かってにそれを「ロゴスによる判断」とは別のものとみなして、発した問いではないだろうか。神の声が聞こえ、それが完全に、ロゴスによる判断と一致していたソクラテス自身は、きっと「ガラクシドロスの問い」とは無縁のところにいる。」

瞑想しながらソクラテスは神と繋がってたんだね。